えー、今年は顧問の要望もあってページ数が限られています。よって長くなりそうな作品の説明はせず、自分の好きな分野について語らせていきたいと思います。
まず電圧とは何か、ということから始めさせていただきます。まずそもそも電気とは何かと言いますと、電子です。電子とは化学の分野になるので詳しい説明は省きますが、『―』の電気を持っています。小学校低~中学年のころに習ったと思いますが、電気は電源の+極からー極へと流れています。ですがこれは正確な表現ではなく、実のところ、電子がー極から+極に流れていっているのです。電子は『―』の電気を持っていますので、『―』が『―』極から出ている、これは言い換えると、「『+』の電気が『+』極から出ている」ということです。
さて、ここで電圧の話に戻らせていただきたいと思います。電圧と言うのは端的に言ってしまえば、電子の動く速度です。余談ですけれども、電流とは電子の量です。よくマンガや小説で「電圧が高くても電流が低ければ人は死なない」というフレーズを目にしたことがある人は多いと思います。これはホントの事で、秒速80mでBB弾を撃たれても(エアガンの速度です)「あてっ」ってなるだけですけれども、時速80km(秒速2m)で岩が転がってきたら死にます。電流が高ければ電圧が低くてもダメージが与えられるというのはこういうことです。
とまあ、電圧と電流の説明はここまでにして、『高』電圧の説明に入って行きたいと思います。
まずどのくらいの『V』から高電圧と呼ぶかと言いますと、実は厳密には決まってなくて、自分は家庭用コンセントの電圧が100Vなので101V以上が高電圧と考えています。
続いて、高電圧の作り方について説明したいと思います。高電圧の作り方は大きく4つに分けることができます。「部品」「回路」の二つです。
部品については、世の中には『静電気』という数千Vに達する自然現象があります。これを利用してエンジンやライターに点火する装置があります。エンジンの点火装置の方は安定性抜群、電圧も高いのですが値段が半端ではありません。大人からすればポンって出せる金額なのだろうけど、高校生の僕では当分色々と我慢しなければなりません。ライターの方は100均で購入して分解すれば手に入るのですが、すぐ壊れて、電圧もそれほど高くありません。これらは割と制御が簡単ですので高電圧初心者にお勧めです。
次に、回路を組んで、低電圧を高電圧に昇圧する方法を紹介したいと思います。この方法はそれこそ星の数ほどあり、紹介しきれないので自分がやったことのある、またはすぐに出来そうなものを紹介したいと思います。最初はタイマーICというものを用いて、コンデンサと言う電気をためられる部品に低電圧を何回も何回もぶち込んで最終的に高電圧を作る方法です。これは回路も簡単ですが、コンデンサにためた電気を発散し損ねると爆発を起こします。取り扱うときは十分注意しましょう。次はコックウォルトンフロント回路です。これは先ほど紹介したコンデンサと、電気を一方方向にしか流さないダイオードという部品をはしご状に組んで交流の入力電源をはしごの数だけ倍加し、直流電流を出力する回路です。
とても簡単で、電流の低い交流電源さえ用意できればかなりの高電圧を用意できます。ただし、コンデンサやダイオードのリード(つなぐ針金みたいなところ)や自然放電の影響もあって10000Vくらいまでしか上げることのできません。次にコンデンサを並列につなぎ、ある一定以上の電圧がたまった瞬間に直流になってコンデンサの数だけ電流が倍加される回路があります。これは調節が非常に難しく、うまくいかなかったときの放電はえげつないものがありますし、仮にうまくいったとしても、きれいに倍になるというわけでもない上に、ここまでの電圧に耐えるコンデンサは一般向けに販売されていませんので自作する必要があります。続いては電子レンジの中身を分解したときに出てくるMOTと言う部品をうまいこと接続して高圧高電流を引きずり出すという方法があります。(分解は自己責任でやりましょう。下手をすれば保険が効きません)これは先ほどの回路と比べて、段違いの電流、電圧を取り出せますが、とてつもなく危険です。良くて死亡、悪ければ人相さえ分からなくなります。最後に、回路で最も安全かつ高電圧を取り出せる方法を紹介します。それはテスラコイルと呼ばれるもので、4年前の文化祭でも展示していましたが、これは本来大学の研究室が作るようなもので、お金もかかりますし、作成もとても難しいですが、今までの回路と比べると比較的安全で、ある程度極めると楽器にもなります。
スペースもそろそろなくなってきたのでそろそろ終わりにしたいと思います。本当は高電圧の月道とかも書きたかったのですが、それはまたの機会にということで。
本日は物理部展@2016にお越し頂き有難うございました。来年もよろしくお願いいたします。
※回路図も乗せたかったのですが、これを参考に作って万一怪我を負ってしまいますと自分は下手すれば退学なので省略させていただきました。ご了承ください