ゲームのBGMについて

R.K.(中3)

1.はじめに

皆さんこんにちは、中学3年生の{明松 | かがり}です。今年初めてポジトロンの記事を書かせていただくことになりました!!!中2のときにこの記事を書いたのですが、新型コロナウイルスによる文化祭の規模縮小により物理部が部誌を出しませんでした。

さて、本題へ移っていきましょう!僕はゲームをするとき、BGMを気にしてしまうような人です。また、僕が作るゲームのBGMは基本自分で作ります。そんな僕が思ったことをまとめます。

ゲームのBGMを作ってみたい!と思われている方はこの記事を参考にして、僕なんかよりもっとBGMを作られている方やこれを職業とされている方は、へえ、こんなかわいい考え方があるんだなと思いながら読んでください。くれぐれも「あいつ幼稚な考え方だな」と思ったりするのはおやめください。傷つきます。

2.それぞれの種類の音符はどのようなところに使われるか

まずはそもそも音符にはどういう種類があるの?という方のために、種類の説明をします。こちらをご覧ください。音符の名前とその記号の対応表です。

音符の種類全音符2分音符4分音符8分音符
全音符2分音符4分音符8分音符

その他にも譜点付きや16分音符、32分音符などがありますがそれでは細かい話になってしまうので省きます。気になるという方は調べてみてください。

さて、それぞれの音符についての説明をします。 まず、全音符とは、4拍分音を鳴らしてしまう音符です。あまり主旋律で使われることはありませんが、使われるとしたらどのような場面で使われるのでしょうか? 2分音符とは、2拍分音を鳴らす音符です。こちらもあまり主旋律で使われることはありません。こちらの使いみちも気になりますよね? 4分音符とは、1拍分音を鳴らす音符です。これはよく使われます。しかしBGMのジャンルによっても使われる頻度が異なります。 全音符、2分音符、4分音符だけではのんびりしたBGMしか作れません。そこで活躍するのは8分音符です。8分音符とは、2分の1拍分音を鳴らす音符です。この音符があることでBGMも大きく変わっていきます。

さて、ここまで音符の種類について解説していきました。では、それぞれの種類の音符はどのような種類のBGMを作るのか、見ていきましょう。 まず、全音符が主旋律に使われる場合としては、悲しい曲の偶数小説目や、神秘的な曲の冒頭などがあります。また、低音に使われる場合としては…とはいっても 僕の場合は 低音の部分を作っているときに全音符は乱発するのでまあ「たまに出てくるだろう」と思っとけばよいでしょう…(個人の意見です) しかし、全音符そのものが使われることは少ないのです。次の図のように、付点2分音符で3拍分演奏しつつ、後ろに1拍分のメロディーを入れる、というもののほうが多いと思いますね。

付点2分音符

次に、2分音符が主旋律に使われる場合では、先ほど挙げたように、付点をつけて3拍分演奏されることがあります。 2拍分演奏させる場合としては、悲しい曲や、神秘的な曲の冒頭などがあります。 うん。2分音符はほぼ全音符と同じ役割を果たすのではないでしょうか? いえ、多くのジャンルの曲の最後や8の倍数小説目の部分に使われることも多くあります。低音のパートにおいては、もうスターと言ってしまえるくらいたくさん出てきます。

また、一番よく使われるであろう4分音符が主旋律に使われる場合としては、かっこいい系のBGMが挙げられます。また、3拍子のものの場合にも使われます。しかしながら4分音符だけで使われる場合は少なく、8分音符と組み合わせて使われることが多いです。4分音符は本当に8分音符との組み合わせが良いのです!例えば、4分音符→8分音符→4分音符→8分音符→…や、8分音符→4分音符→8分音符→4分音符→…などという組み合わせがあります。また、4分音符に付点をつけて1.5拍分音を鳴らす場合もあります。低音に使われる場合では、4分音符がそのまま4拍分並べて使われたり、ほかの音符に交じって出てきたりします。

8分音符が主旋律に使われる場合では、4分音符や16分音符などと並べられて使われることが多いです。あるいは付点のある音符の前や後ろに入ったりしています。8分音符は、低音においても隠れたスターとして大活躍します。8分音符だけで並べられたり、他の音符に混じって使われたり…まあとにかくたくさん使われます。

ここまで僕はめちゃめちゃな説明をしてきたのですが、いかがでしたか?言いたいことは、音符の並べ方としては、単独で使われるときとほかの種類の音符と並べて使われるときとがあるということですね。さて、それでは次の章へ行きましょう。

3.テンポの違いはBGMにどのような影響をもたらすのか

さて、テンポの違いとBGMの関係についてみていきましょう。一つだけ皆さんにこの章では覚えていただきたい言葉があります。「BPM」です。これは"Beats Per Minute"の略です。つまり何かというと、1分間に4分音符を休まずにいくつ演奏することができるのか、ということです。例えば、皆さんは楽譜の最初に「♩=83」みたいなものは見たことがありますか?これは、1分間に4分音符を休まずに83回演奏できる、ということなのです。この単位は心拍数にも使われています。

では、テンポ数の具体例を挙げていきましょう。ざっと説明していくと、まず、80BPM前後では「遅い」テンポであり、ゆっくりしているので、落ち着いたような曲、神秘的な曲、悲しい曲などの例が挙げられます。

100BPMは、いわゆる「とても遅くはないが速いとか普通のテンポではない」といった中途半端なリズムであるため、緊迫した場面や、何かを考えさせるような場面のBGMで使うことができます。

120BPM前後の曲の用途はいろいろあります。例えば、かっこいい系の曲、少し落ち着いた曲、少し元気な曲、少し緊迫感のある曲などがあります。なぜ「少し」という表現をたくさん使用したかというと、あまり強い表現ができないからです。120BPM以外のテンポで強い表現をすることができます。でも一番使い道が多いのはこの120BPMなんですけどね。

そして150BPM前後は「速い」リズムであるため、とても激しい音楽に使われます。ここに低音などをたくさん入れると工夫次第では120BPMくらい、またはそれよりもかっこいい音楽を作ることができます。

また170BPMは「更に速い」ことから、更に激しい雰囲気になります。

使い道は結構少ないですが応用として、ゲームのワンシーン内でも雰囲気の起伏が激しいときには、テンポを途中で変えるものもあります。これを見て「ボス戦のBGMとかのことじゃない?」などと思った方もいらっしゃると思います。確かにボス戦が「雰囲気の起伏が激しい」の典型的な例と言えるでしょう。

このように、テンポの違いもBGMの雰囲気を変え、様々な使い方ができるのです。 むしろ、ゲームの雰囲気に合わせたBGMを作る際、まずはそのシーンにあったテンポとは何かを考えることが重要となってくると僕は考えます。

4.BGMに声は入れるべきなのか

さて、ここからはレベルを少し上げます。基本的な音楽の構成要素について見ていったのですが、ここでBGMに歌詞は要るのかということを考察します。本来BGMには歌詞がないのが普通なのですが、歌詞を入れるか否かでだいぶ奥が深くなります。 声の入れ方にはどのようなパターンがあるのか見ていきます。

  • よくある普通の歌みたいに歌詞のようなものを入れる
  • 「アー」「オー」などの単母音の声を入れる
  • 意味不明な(文字起こし不可能な)歌詞を入れる
  • 1単語や短い文章など、1つのフレーズをある場所に入れる
  • サビだけに歌詞を入れる
  • サビにだけ歌詞を入れない
  • ほとんど声だけ

などいろいろあります。パターンを挙げたらきりがありませんね。このように、歌詞に声を入れるというのは奥が深いものなのです。 しかし、本題はここから。BGMに歌詞を入れるのには次のような目的があると(少なくとも僕は)考えます。

  • ゲームをする上で、BGMの存在感を一層強める
  • 今のゲームのシーンをより鮮明に反映する
  • 何かしらの演出をより豪華にする
  • 声のない単調なBGMからより複雑に、より長くし、ゲームの奥深さを増す

などいろいろあります。しかしながら、BGMの声には短所もあります。

  • ゲームのクオリティがある程度高くないとBGMとのギャップが際立ってしまう
  • 音量を調整しないと声が際立ちすぎたり、逆にまったく意味がなかったりしてしまう
  • 特に日本語など、歌詞が聞き手にとってとても良くわかる言語だとゲームよりも歌詞のほうが印象に残りやすくなってしまう

声にはこのような短所もあり扱いが難しく、曲制作に長けているような人でもなかなか難しかったりします。

上の短所にもありましたが、BGMの声の音量調整は特に複雑です。そこで、音量と声との印象の関係を表にまとめてみました。表の横の列は、声パートの音量がその他の楽器の音量の何%なのかを示し、縦の列は全体音量を示します。なお、特にこの表は、作曲の経験があまりなく、ゲームもほとんどしない僕の独断と偏見のみに基づいています。くれぐれも参考にしすぎないように。

〜50%〜100%100%〜
静か声はほとんど聞こえない、BGMの存在感は薄いある程度バランスが取れている、存在感は小さいほとんど声だけが印象に残る
普通ゲームに集中しやすい特にバランスの取れたBGM、ゲームの雰囲気を感じやすい何かしらの演出に使われそうな独特な印象
うるさめ声よりはメロディを気にしやすいBGMの存在感そのものは特に大きい声の印象が大変高い

このように、声を扱うのはとても難しいのですが、使いこなせるようになると曲の幅がとても広がります。みなさんがゲームをするときも、特に声を気にしてはいかがでしょうか。 また、どんなに声を工夫しようとも声が似合わないような演出やシーンもたくさんあります。「こんなシーンは果たして声を入れるべきなのか」と考えてみるのもとても楽しいものです。 しかし、更に難しいポイントが次の章にあります。みなさんはなんだと思いますか?

5.BGMの楽器の種類、数はどのような印象の違いをもたらすのか

さて、答えは「楽器」。BGMを構成するにあたって特に重要なポイントです。もちろん楽器なしではBGMは少しも完成しません。 ということで、まずは楽器の種類について書いていきます。楽器の種類と特徴を羅列していきます。なお、これはWikipediaより「楽器分類別一覧」というページを参考にしていますが、説明は自分で書いたものです。

  1. 擦弦楽器 音を細かくすれば激しい印象に、長い音を繰り返せば落ち着いた印象にしてくれ、隠れたところで使いみちが多様な楽器。ゲームの印象をより美しくする。 バイオリン、ビオラ、チェロ など

  2. 撥弦楽器 琴などの古の楽器から、ギターなどの現代的な楽器まで様々な種類がある。 弦を単独で弾いても美しい音が出るが、特にこの楽器から出る和音が美しく印象的である。 メインパートに使われるも多いが、サブパート、伴奏に使われることが多い。 琴、ハープ、ギター など

  3. 打弦楽器 ピアノがその代表例。このような楽器は単独でもBGMを成り立たせることができるほか、いわゆる「右手パート」「左手パート」の両方を同時に同じBGMに使うことも可能。この楽器も使いみちは多様。 ピアノ など

  4. 管楽器 木管楽器と金管楽器がある。他の楽器との共通点が少ない印象的な音色をしており、メインパートになりやすい。 BGMの聞き手に、元気な印象や激しい印象をもたらす。また、他の楽器との組み合わせ次第で落ち着いた印象にしたり、感動的にしたりといろいろ工夫できる。 クラリネット、サクソフォーン、オーボエ、トランペット など

  5. シンセサイザー 一概にシンセサイザー、といっても設定次第で100通りの設定があれば100通りの楽器に、10000通りの設定をすれば10000通りの楽器と化すという奥深い楽器。基本的なシンセサイザーは、波の動きが一定のものが多く、他の楽器をベースに作られているものもあれば独特な電子音を奏でるものもある。ただ、シンセサイザーがメインパートで上記の楽器のみがサブパート、というものは少ない。ほとんどがシンセサイザーのパートで、隠し味としてピアノなどの楽器が入っていることはある。また特に低音パートなどのサブパートにはシンセサイザーを使うと曲のカッコよさやバリエーションが一段と上がる。

ここからは打楽器を紹介していきます。

  1. 木製体鳴楽器 打楽器の中で、やわらかい印象のある音がする。和風なシーンや落ち着いたシーン等に使われることが多い。 カスタネット、ギロ、ウッドブロック など

  2. 金属製体鳴楽器 先ほどの6と同じ体鳴楽器だが、材料が金属である、というだけでも違いはある。聞き手に落ち着いた印象を与えるという特徴は変わりないのだが、木製よりもインパクトが強く、やわらかいと固いの中間地点をカバーするような楽器である。鈴のように少し落ち着いた音であるものもあれば、シンバルのように激しいものもある。 シンバル、トライアングル、ベル など

  3. シェイカー 楽器の中ではマイナーなジャンル。マラカスなど、粒上のものを振って音を出す、独特な楽器。音量はそこまで大きくないが、他の打楽器だけではところどころ空いてしまう隙間を埋めるためには不可欠だったりする。また独特な音であることから、サブパートには特に役に立つ。 マラカス、カバサ など

  4. 木製鍵盤打楽器 これとその次に紹介するものは、打楽器なのに音階がある、特殊なものである。木製鍵盤打楽器には木琴などがあり、落ち着いているが明るい音であるため、メインパートに使われることは少ない。が、例えばメインパートと全く違う音を奏でさせるなど、サブパートの中では独立したパートとして使われることが多い。 シロフォン、マリンバ など

  5. 金属製鍵盤打楽器 9と同じ鍵盤打楽器だが、9とは違いがある。6と7の違いでもあったように、金属製であることで落ち着いているような音色を保ちつつインパクトを強くしている。だから、サブパートに使われることが多いが、それだけでなくメインパートや、立ち位置がメインパートくらい大きいパートに使われることもある。 鉄琴 など

  6. 人体を使うもの ここで紹介するのは楽器、というよりかは人間の体を使って出せる音のことである。ピンとこない人もいるかもしれないが、ここではハンドクラップやスナップなどのボディーパーカッションがあげられる。第4章で挙げた声も含まれる。これらを使うことで人間がBGMに溶け込んでいるように表現することができる。 ハンドクラップ、フィンガースナップ など

  7. 膜鳴楽器 この打楽器はジャンルが広い。そもそも膜鳴楽器とは、膜をたたくような楽器のことであり、太鼓などが挙げられる。打楽器としては不可欠な楽器で、リズムを刻ませたり聞き手にインパクトを与えたりと、数多の使い道がある。 ドラム、太鼓、ティンパニ など

  8. シンセサイザー ここでのシンセサイザーとは、シンセサイザーの打楽器としての役割のことである。またシンセサイザー?と思うかもしれないが、その通りであって、結局5で挙げたシンセサイザーと設定する内容はほとんど同じなのである。ただシンセサイザーを打楽器として使うことで、5のシンセサイザーと併用することでエレクトリックな感じが増したり、BGMのカッコよさを挙げたりすることができるのである。

ここまで楽器の種類を羅列しましたがいかがでしたでしょうか。ただ僕の拙い日本語と文章力のなさのせいでなかなか理解できなかったという方もいらっしゃると思われます。ですがまだ中3ということでお許しください。

さて、BGMにおいては楽器の種類も重要なのですが、楽器の数も重要になります。たとえかっこいいBGMを作ろうとしたって楽器の数が少なければ難しくなりますし、落ち着いた雰囲気の曲を作ろうとしたとしても楽器が無駄に多ければできません。また打楽器の支配率も重要となります。ということで、楽器の数と打楽器の支配率とBGMの印象をまとめてみました。横の列が楽器の数で、縦の列が打楽器の支配率です。なお、ここでは楽器の種類によっても曲調が左右されるため、あまり具体的な数値は書いていません。第4章と同じことを言いますが、作曲の経験があまりなく、ゲームもほとんどしない僕の独断と偏見のみに基づいています。くれぐれも参考にしすぎないように。

楽器少なめやや少なめ〜やや多め楽器多め
少ない落ち着いた、冷たい印象、感動的な印象落ち着いてい印象神秘的な印象
50%前後これから曲が始まるような印象曲の中盤で、元気な印象愉快な印象
多い緊迫した印象上よりも元気な印象激しい印象

以上です。表現が抽象的すぎて何を言っているのかわからなかったという方もいると思います。ただこれは僕が勝手に表現しているだけのものなので、なんとなくで分かっていただければいいと思います。

このように、楽器の種類がBGMの制作において特に重要になるのです。ただ、楽器にはいろいろあり、名前を聞いただけではどの楽器がどのような印象を与えるのかがわからない、という方もいらっしゃると思います。しかし、そんなときはとにかく楽器を触り、音を聞いて理解するのが一番無難だと僕は考えます。また、いろいろなBGMを聞いてその中になんの楽器が入っているのかを想像するのも良いでしょう。ただ聞いているだけのBGMも楽器を意識すれば見方が変わると思います。

6.さいごに

ここまでいかがでしたでしょうか。

改めていいますが、この記事は一般的な音楽の常識ではなく、僕の考えだけで構成されています。これはBGM制作において重要な知識まとめ、というものではなく、あくまで僕が考えた、BGM制作をする上で重要なポイントであるということを改めて言っておきます。

BGMというものの制作には、もちろん音楽の知識も大変重要なのですが、それ以上にゲームにおいてBGMを意識して聞いているのか、またそれによる勘があるのかも重要になってきます。あくまでここで僕が挙げたのは参考程度で、ゲームのBGM制作は結局大半は勘であり、その勘をフルに働かせた人こそよいBGMを作ることができます。

と偉そうに言いつつ、僕はこのおわりにを書いている中3現在も音楽の知識とBGMの勘には自信を持っていません。今になってようやくコード(CとかCmとかC7とかそういうやつ)を勉強しています。ただ未だにその知識は身についていなくて、やはりBGMの制作は実践の経験のみによってクオリティが増すんだなと実感しました。

この記事は8000文字を超える大ボリュームの記事となったのですが、音楽の専門知識をあまり持っていない中での執筆だったのでどうも納得がいっていません。数年間かけある程度音楽の知識を身に着けたらまたPositronに音楽関係の記事を出そうかなと思います。それまでに楽しみにしておいてください。

最後に、この部誌の執筆をサポートしてくださった物理部員の皆様、部誌を検閲・発行してくださった顧問の先生方、そしてこのPositronを読んでくださっている読者の皆様に感謝申し上げます。

また、僕は他の記事も書いていますのでぜひそちらもご覧ください!

こちらの記事を読んでくださりありがとうございました!

参考文献

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