はじめに
昨年の10月、AMDがRyzen5000シリーズを発売し、CPU業界は大きく盛り上がりました。この部誌ではどうしてRyzen5000シリーズがあれほど大きな話題を呼んだのか考えたいと思います。RyzenThreadRipperシリーズに関してしては大きく省いている点があること、また筆者の個人的な意見を多く含んでる場合がありますのでご了承ください。
## そもそもRyzen5000シリーズとはそもそもRyzenシリーズはAMDが2016年12月13日に発表したCPUのブランドです。これにより当時はIntelがCPU市場を独占していた状況に大きく風穴を開けました。
Ryzen1000シリーズはIntel製CPUに比べ、安価でクロック数が低い一方で、コア数、スレッド数が多いという点で人気を集めました。同時にIntelはCPUの開発に苦戦しており、多少性能を向上させた程度ものを別の世代として販売していたことから、Intelを見捨てた消費者も多かったことでしょう。
グラフを見ればわかるように、Ryzenの発売直後の2017Q1期(1月~3月)に、今まで下がり気味であったAMD製CPUのマーケットシェア率は上昇に転じています。
またデスクトップCPUに関しては2021,Q1(1月~3月)時点ではIntel製CPUのマーケットシェアを追い抜いています。これはおそらくRyzen5000シリーズ発売の影響でしょう。いろいろなWEBメディアでも大きく取り上げられていましたからね。 ちなみに混乱した方もいらっしゃったかもしれませんが、Ryzen5000シリーズはRyzenの第4世代の製品です。(Ryzen4000シリーズは第3世代のセキュリティ強化モデル)
Ryzen5000シリーズの特徴
いままでのRyzen7,Ryzen9シリーズでは、4コア+L3キャッシュ16MBを1グループとしてそれを複数搭載することによって多コアを実現してきましたが、Ryzen5000シリーズからは8コア+L3キャッシュ32MBを1グループとすることでコア間のデータ転送速度を大幅にアップさせ、また1つのCPUが大量のL3キャッシュに瞬時にアクセスできるようになりました。これによりCPUの性能は19%アップしたとされています。参考画像ポンッ
Ryzen5000シリーズのRyzen9ではこのグループを2基、Ryzen7では1基搭載しています。こうして性能が飛躍的に向上したにもかかわらず、Ryzenのコストパフォーマンスは維持され続けています。まあ実際すごいのはAMDではなくこのCPUの設計と製造を担当しているTSMCなんだけどね。
この先のRyzenについて
すでにRyzen6000シリーズ(Zen4)の情報はリークされていますが、最大の違いはなんといってもソケットの変更でしょう。いままでのRyzenは、デスクトップ向け製品に関してはずっとAM4という規格のCPUソケットを採用し続けてきました。そのおかげでユーザーはマザーボードメーカーが対応してさえいれば「Ryzen1000シリーズのCPUを使ってきたけれどそろそろ性能に不満が…」となった際に簡単に世代を超えてCPUをアップグレードすることができたのです。しかしソケットの形状が変わってしまうとそれもかないません。 10年ほど前からIntelは2世代ごとぐらいにソケット形状を少しずつ変化させるという暴挙に出ていますが。 いままでこのアップグレードの簡単さがRyzenシリーズの売りであったような気もするので、これからパソコンを買う人の中ではRyzenシリーズを避ける人も出てくるかもしれませんね。まぁまだリーク段階なのでソケット形状が変わると確定したわけではありません。今後の最新情報に期待ですね!
終わりに
参考文献
- CPUシェアグラフ https://www.cpubenchmark.net/market_share.html
- AMD CCXに関する情報 https://www.gdm.or.jp/review/2020/1105/368230