三次元麻雀試論

高三 K.S

麻雀というゲームは楽しいが、四人までしか遊べないという欠陥を抱えている。雀卓が一台しかなかった日には、クラスターが五人以上になった時点で麻雀はあの世界最悪のゲームであるジジ抜きにさえ後塵を拝することとなる。ただ人数が多いというだけで。

また、チェスとかいう遺物が三次元になっただけでSFに出しゃばってくるのは気に食わない。

そこで提案したいのが三次元麻雀である。きっとSF感も出ることだろう。

{家|軸}

二次元麻雀の東南西北では足りないので、右手系を使って\(+x\){家|軸}、\(-x\){家|軸}、\(+y\){家|軸}、\(-y\){家|軸}、\(+z\){家|軸}、\(-z\){家|軸}をおく。{風|ベクトル}牌も同様に。ツモ順も右手系を使って定義すると、\(+y\)家の上家は\(+x\)家、下家は\(+z\)家となる。つまり二次元麻雀と同じく上家が左にあるとすると、{下|・}家は紛らわしいが{上|・}にいる。

牌

まず平等のため東南西北を置き換る風牌改め軸牌\(\pm x, \pm y, \pm z\)は必要だろう。

三麻四麻六麻(仮)
108(92)pcs136(122)pcs144(130)pcs
36(30.6)p/p34(30.5)p/p24(21.6)p/p
三麻、四麻、六麻(仮)の比較;括弧内の数字は王牌を抜いた時の数字

このままでは局の長さは四麻とほぼ同じ時間、場の長さは約1.5倍にはなる。が、8,9枚のツモでは流れることが多いだろう。四麻と同じ局の長さにするためには40枚ほど牌を追加する必要がある。これ以上字牌を追加しても字牌と数牌の比\(R=\frac{n(Suits)}{n(Honors)}\)が小さくなりすぎて三麻を超える「じゃんけん」さになってしまうので数牌をもう一系統追加すれば四麻と同じ程度の\(R\)になる 三麻:\(R\sim3.07\)・四麻:\(R\sim3.85\)・六麻(仮):\(R=3\)・六麻+新数牌(36):\(R=4\) ため、芸がないが中国人にはタラス河畔の戦いの因縁を忘れてもらい、アラビア数字アラビア数字の起源については: https://en.wikipedia.org/wiki/Arabic_numeralsの数牌、阿子(読み方はご自由に)を追加することとする。

確率

麻雀の役を調べるとだいたい確率が出てくるが、ほとんど計算している記事は見つからないためおそらく統計なのだろう。この世で誰もプレイしたことがない[要出典]三次元麻雀には統計なんてものはない。この記事では三麻、四麻、六麻をランダムな\({180}C{14}\)をシミュレートすることで論ずる。個々の役については代数的に計算して、全体的に役はどの程度付くのかは物理部なのでプログラムを用いて解決してみようと思う。以下が代数的計算の結果。

三麻四麻六麻
108(92)pcs136(122)pcs180(166)pcs
36(30.6)p/p34(30.5)p/p30(27.6)p/p
参考: 三麻、四麻、六麻(仮)の比較
役三麻四麻六麻
大四喜2.528*10-131.084*10-144.050*10-15
国士無双9.364*10-93.078*10-101.216*10-8
九蓮宝燈4.127*10-112.035*10-124.506*10-14
清老頭3.297*10-131.084*10-141.680*10-15
字一色3.157*10-121.038*10-134.315*10-14
小四喜1.086*10-115.290*10-132.200*10-12
大三元6.516*10-114.100*10-121.232*10-13
緑一色1.316*10-124.328*10-147.188*10-16
みんな役満以外気にしてないでしょ?

この表はまったく鳴きを考慮していないので縦での比較は意味が少ない。清老頭が九蓮より希少なんて嘘すぎる。だが、他人が切る牌の数が大幅に異なることを考慮しなければ、三麻、四麻、六麻でツモの回数は同程度なので横での比較は多少の意味を持つ。問題は明らかである。三麻が「じゃんけん」すぎることは周知の事実だが、それを超え四麻より40倍出る可能性がある六麻の国士無双は問題児すぎる。暴走した国士無双が大怪獣バトルを繰り広げる世紀末世界が待っているに違いない。悲しい。横で走っているシミュレーションでも国士無双が幅を利かせている。

シミュレートはMonte Carlo法で行うこととした。アガリ形の判定を思いつかなかったOnce Obi-Wan said: “Use the LLM, Luke.”ためGeminiくんに尋ねると再帰を使えObi-Wan also said: “Use the recursion, Luke.”と仰るのでその通りに実装することに。四麻で\(500,000,000\)回, 六麻で\(1,000,000,000\)回ずつ実行してみると以下のようになった。

役四麻六麻
立直2674286
平和1556172
七対子31840
断么九23022
一盃口928
三色同順8212
一気通貫302
混一色60
国士無双415
純全帯么九02
白646
發482
中464
確率分布;単位は10-9

白發中のばらつきからMonte Carlo法と言い張るには圧倒的に\(N\)が足りないことが見て取れる。天和(=立直+七対子+国士無双)の四麻での代数的確率は\(3025.4483\times10^{-9}\)【麻雀】天和の確率は何パーセント?計算して求めてみた|びぼぶろぐ
https://bibo-blog.com/tenho-probability/
らしいので碌に最適化していない適当プログラムの絶望的な実行速度の\(N\)で\(2674\times10^{-9}+318\times10^{-9}+4\times10^{-9}=3096\times10^{-9}\)という良い結果が出ている。モナコ人もhappyだろう。モナコで麻雀が流行っている気はしないが。

牌の絶対数が増えているため六麻は四麻より全体的に10倍ほど役が出にくくなっているようだ。流れることもある四麻より十倍役が出ないことは問題なので、プレイヤーは鳴きによって解決するだろう。他人の切る牌を注視し鳴きが遥かに多く飛び交う世紀末麻雀になってしまうに違いない。悲しい。

これ以外の役は\(100,000,000\)回ほど四麻をシミュレートしたときに清一色が一回出てきたのみで、左表に列挙されているものがほとんどである。九蓮宝燈とか実装がだるかったので出てほしかった。

あとがき

麻雀シミュレーター実装、役の計算など新鮮なことが多くて非常に楽しめた。徹夜で文章を書いているのでシミュレーション中は仮眠していた。こんなに役が出ないとは思わないので、テストプレイをしてみたかったが部誌の締め切りが来てしまったため投了。著者しるす(8/31 23:33)

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